【雑誌健に連載中】9月号は、機能的なレイアウト

 整理収納アドバイザーの資格を持ち、長年小学校の養護教諭をしていた経験から専門雑誌「健」に「保健室の整理収納」について連載中です。

 

9月号は、「機能的なレイアウト」です。

 

日々の忙しい毎日の中で、「少しでも効率的に仕事を進めたい」と誰もが思っていらっしゃるでしょう。

 

しかし、着任早々新学期が始まり、バタバタの中で一学期を終え、夏休みに不便を解消しないままだと2学期に突入し、ずっとそのままです。

ますます、執務がスムーズに運ばなくなってしまい、悪循環になり、どうしたらいいのか?

 

そんなお悩みからご質問をいただき、その状態を解消するには、どんなレイアウトを心がけたらいいかを書いてみました。

レイアウトを考えるには、保健室の機能を考えたゾーニングが肝!

 忙しい毎日の中だと、つい不便なところを局所的に解決したくなりますが、ここは一度全体を見ることから始めた方がうまくいきます。

STEP1 まずは保健室全体のゾーニングをしましょう

 保健室を十分活用するには、まずは「保健室の機能が十分発揮できるような部屋にすること」が大切です。そのためには、ゾーニングをしましょう。

 この場合のゾーニングとは、「保健室の空間を機能的に使えるように分けること」になります。大きな空間からだんだん小さな空間に向かって進めていき、最終的には物の定位置を決定するのです。

 具体的な進め方としては、「保健室全体⇒各コーナー⇒収納方法⇒定位置の決定」となります。

保健室のゾーニングとしては、救急処置をするところ・休養するところ・執務をするところ・健康相談をするところ・情報管理をするところ、などが考えられます。

STEP2 保健室に配置したいコーナー

おおまかなゾーニングができたら、そこに配置するコーナーが決まってきます。

 保健室に必要なコーナーとしては、

例えば、写真のような救急処置コーナーを始めとして、

休養コーナー、執務コーナー、測定コーナー、健康診断コーナー、など約10のコーナーがあります。

 

これらのコーナーを一気に考えて配置するのは難しいと思いますので、考えるポイントを上げます。

①保健室経営の重点課題を考える

 養護教諭の皆さんは、毎年保健室経営案を立てていらっしゃると思います。その内容は、学校の実態やその学校での養護教諭の勤務年数などによって毎年何を優先させるかを考えます。

 例えば、私の場合は、着任一年目には「保健室の機能が十分発揮できるように環境を整備する」を挙げて保健室の大改造を進めました。二年目からは、児童の健康課題に沿った経営案を具体的に上げて取り組みを進めていました。

 例えば、個別対応が多い保健室のレイアウト、保健委員会活動を活発にさせたい保健室のレイアウトなど、児童の実態に合わせて、レイアウトも工夫する必要があるのです。

②人の行動動線を考える

 保健室は大きな空間の中で様々なことが実施されます。出入口が1か所か2か所あり、その出入口から入って人がどう動いていくかを考えた配置が必要となります。

 それには、校舎内での保健室の場所がどこなのか?周りの間取りはどうなっているのか?から検討します。

同じ1階に配置されている保健室であっても、隣に児童が使う階段がある場合と一番端に配置されている場合とでは、人の流れが違ってきます。

 そして、保健室内を考えた時には、動かせない物=造り付けの物がどんな配置になっているか、を配慮する必要があるのです。例えば、保健室の出入り口、黒板・掲示板、掃除道具入れ、などです。これらの物は、養護教諭自身が動かしたくでも移動させることができないため、それ以外で動線を考える必要があるのです。

 さらに、今度は移動可能な置き家具や備品の配置を考えるのです。例えば、執務机、収納庫、ベッド、パソコン台などは養護教諭一人でも移動させることができます。

 着任した時に、すでにその場所にあったものでも「本当にその場所で使いやすいかどうか」を見直すことが大切です。その場所でいい場合は、「収納されている物はそれで本当に合っているか」もさらに見直す必要があるのです。

③よく使う3つのコーナーを優先する

 保健室に必要なコーナーは10ほどありますが、中でも特によく使う3つのコーナーを優先的に配置させると使いやすい保健室になります。

それは、何かというとまずは、休養コーナーです。保健室に体調不良や気持ちを落ち着かせたくて来室する子どもも多いです。休養コーナーには、ベッドやソファが必要です。なるべく出入口から遠く離れていた方が、ゆっくりと落ち着いて休養できることを考えるとおのずと配置場所が決まります。

 

そして、救急処置コーナーです。保健室では、救急コーナーは毎日使うので、はなくてはならないコーナーです。なるべく使う人、つまり養護教諭や子どもたちから近い場所に配置し、動線を短くすることが望ましいです。

 

最後は、執務コーナーです。ここは、養護教諭が中心に毎日使う場所になるので、配置は大切です。休養コーナーや救急処置コーナーとなるべく近い場所にありつつも、個人情報を扱う事務作業も多いため、しっかりとプライバシーも守れるような状態であることが望ましいです。

 

以上のようなことを考慮しつつ、3つのコーナーを優先的に配置してから、その他の必要なコーナー配置をしていくと考えやすくなります。

STEP3 収納方法を決定し、収納する物を組み合わせる

 コーナーの配置が決まれば、おのずと必要な家具や備品、そこに収納する物がわかります。あとは、どのように配置するのか?の収納方法の決定になります。

 具体的には、棚収納、引き出し収納、吊り下げ収納、を考えるのです。

こうして物の定位置が決定し、動線を配慮した、機能的な保健室が出来上がるのです。