【雑誌健に連載中】8月号は、保健室のコロナ予防対策

整理収納アドバイザーの資格を持ち、長年小学校の養護教諭をしていた経験から専門雑誌「健」に「保健室の整理収納」について連載中です。

 

8月号は、「保健室のコロナ予防対策」です。

 

 今年の1月末から新型コロナウイルスが感染拡大し、

4月には全国で緊急事態宣言が発出されました。

 これまでにない長い休耕期間を経て、全国の学校・園が6月にようやく再開されました。

 その直前の5月下旬に、全国の養護教諭の9名の皆様とwebで情報交換会をしたのです。

前代未聞の緊急事態に子どもの心身の健康を守るために何ができるか知恵を出し合う有意義な会議となりました。

 その内容を含め、養護教諭ができる感染症対策として一部をご紹介します。

 

感染症対策もまずは、整理が大切!

 整理収納の基本は、「まずは整理。保健室には使う物だけを置きましょう。」と何度もお伝えしてきました。

感染症対策でもそれは同じ。そして、新型コロナウイルスは、付着してからしばらくの間、感染力があります。

ですから、保健室内にたくさんの物が置かれていると毎日の消毒作業にかなりの時間と労力を要します。

 今からでも遅くはないので、掃除や消毒がしやすい保健室の状態を目指して、整理を進めてくださいね。

感染症予防を考えて、保健室をゾーニング

 ゾーニングとは、「機能が十分に発揮できるように空間を仕分けすること」です。

保健室内は、感染症予防対策が最優先に考えている状態でしょう。それを踏まえて、保健室の空間も感染症対策を考えたいろいろな分け方ができるのです。

一番の望ましいのは、症状がある子どもとそうでない子どもを分けること、です。

 

例えば、「発熱している人」と「発熱していない人」

 

「病気の人」と「病気以外の人」 「けがや病気の人」と「それ以外の人」

 

いろいろな分け方ができますが、以下のように保健室の条件によってさまざまです。

パターン1 部屋を別に設ける

 保健室と保健室近くの部屋を確保して分けます。使う部屋は、「空き教室」「特別教室の準備室」「校長室」「職員室」「相談室」「更衣室」などが考えられます。各部屋のドアには、部屋の表示をイラストにして貼っておくとわかりやすいですね。

 部屋が別に設けられる場合は、大人が必ずその部屋にいるのが条件となり、「部屋と人手」が必要です。養護教諭が複数配置の学校なら対応しやすいですが、単数配置なら他に教職員が必要となります。

パターン2 保健室の中を分ける

 保健室近くに部屋が確保できない場合は、保健室内の空間を分けます。

 

①出入口が2か所ある場合の分け方・・・それぞれの出入り口を前述した「発熱している人」「発熱していない人」などで分けます。

 

 

②出入口が1か所しかない場合の分け方

入口付近で養護教諭が子どもの用件に応じて振り分けます。この場合、あらかじめ「けがの対応ゾーン」「病気の対応ゾーン」「相談の対応ゾーン」などを決めておきます。

ゾーンを決めたら、衝立やカーテンで仕切ったり、床にテープを貼ったりして分けておきます。

 

 

その他にも、いろいろな感染予防対策があります

すぐに拭きとれるマット

感染のことを考えると、ベッドの使用を躊躇されるかもしれません。

 そんな場合は、ふき取りやすい素材のソファに座らせて対応する方法があります。

 それでも横になった方がいい場合もあるでしょう。シーツのままだとその都度取り替えるのは困難です。

 ふき取り可能な素材のマットを敷く方法があります。

キャンプ用品賭してホームセンターなので購入できるマットです。

入口前でいったん止めて用件を聞く

 保健室の中で密になるのを避けるため、入口で一人ずつ用件を聞きます。

 子どもたちにわかりやすくするために、入口には足型と看板で表示します。

出入口にも感染症予防グッズ

 保健室を出入りするときに使う消毒液を置いたり、マスクが必要な場合に渡してあげられるように準備します。

学校全体も、効果的なグルーピングで感染症予防

教室にも保健セットを配置

 グルーピングというのは、同じ目的で使う物を一か所にまとめることをいいます。グルーピングすると忘れ物がなく、すぐに作業ができます。そして、感染症対策は、保健室だけでなく学校全体で仕組みができているとより効果的です。

 例えば、教室で使う物が一か所にそろっていると便利です。

 以前勤めていた学校では、各教室に10段チェストを導入していただきました。

教室にあったら便利な物を各引き出しに入れたのです。

「保健」「ぞうきん、袋」「給食」「文房具」の4段は固定で、あとは各教室の先生に自由に使っていただきました。

 「保健」の引き出しには、体温計と消毒綿、マスク、爪切り、嘔吐処理セットなどを入れていました。

「使う場所の近くに使う物を置く」を心がけていると、かなり使いやすい状態に整いました。

 その他にも、消毒セットとマニュアルを一緒にして教室に配る、病院受診カバンの中に感染症対策として新たにフェイスシールドやマスク、手袋や携帯用のアルコール消毒液などを追加してもいいですね。

 

 セットの内容に絶対の正解はありませんので、ぜひ学校に必要な物をグルーピングしてみてください。