【緊急開催】第1回保健室の感染症対策情報交換会

 今年1月下旬に発生した新型コロナ感染症がみるみる全国に蔓延しました。その拡大防止のため、3月2日以降全国一斉休校措置が取られました。年度末・年度始めの学校現場の混乱は想像以上のものだったと思います。元養護教諭としては、子どもたちや保護者の皆様、先生方、そして養護教諭の皆様に想いを馳せながら、何か自分にできることはないかと考えておりました。

 私が養護教諭を退職してから早4年半以上が経過しましたが、ありがたいことにこれまで講演会や講座を通して全国各地の養護教諭の皆さまとご縁をいただきお知り合いになりました。

緊急事態宣言が発令されていても、各地の感染者数に違いが大きく、各地域の対応も差があります。これまで経験したことのない緊急事態に「何をどのように対応したらいいのだろう?」「文科省の通達を踏まえつつ、学校現場ではどこまでできるだろう?」「子どもの心と体の健康を守れるだろうか?」などの不安や心配があるのではないかと感じ、全国的に学校再開直前の5月24日に「保健室の感染症対策情報交換会」を計画しました。

当日までの準備と経過

 これまで私の講演会や講座にご参加くださった方にお誘いのメールを差し上げるとともに、ご参加いただく方には事前のアンケートをお願いしました。

内容は

●手洗いや手指消毒は何を使ってどのようにしますか?

●施設の消毒は、誰が、どこを、何を使って、どのようにしますか?

●保健室の感染症対策についてどんなことをしますか?

●参加者へ質問したいことはありますか?

の4点について記入していただき、5月17日までに返信していただきました。

その結果を、集計したものを5月20日に参加者へ送付して事前に見ていただき当日を迎えたのでした。

感染症対策情報交換会の様子

  全国各地から9名の養護教諭の皆様がご参加いただきました。

まずは、自己紹介でそれぞれの校種や現在の登校状況、参加に一言をお話いただき、休校中の方がほとんどで分散登校が始まった方は少数でした。

 その後、情報交換会へと進みました。テーマ毎に、3人ずつのグループで話し合いを持ちました。

●手洗い、手指消毒について・・・感染症対策の基本は、手洗い!ということで、手洗いの重要性はあってもそもそも「石鹸が固形しか在庫がない」「手洗い場の数が少ない」「手洗いに並ぶと密になる」などの悩みも出て、現場の状況に合わせて実施することの難しさを感じたのでした。

 

●施設の消毒について・・・文科省からは、次亜塩素酸ナトリウムを推奨されていますが、地域によっては次亜塩素酸水を支給されるところもありました。

皆さん、消毒は必要だと認識していますが、教育活動を行いながら「いつ(時刻)」「だれが(教職員・生徒)」「どこを(場所)」「何を使って(消毒セット)」「どのようにするのか(方法・マニュアル)」をどう進めていくのか?で頭を悩まされていました。グループで情報交換することによって、理想と現実のギャップはありながらも誰もが同じように実施できて、続けられる方法を模索していこう、となりました。

 

●保健室の感染症対策について・・・項目としては、「教職員・保護者・子どもへの情報発信」「健康観察の徹底」「保健室の環境整備」「発熱者への対応」などについてグループで情報交換しました。事前に保健室付近でソーシャルディスタンスの取り方を工夫した足型や掲示物のお写真を提供いただき、皆さんでシェアもでき大変参考になりました。

会の後半は、他の参加者へ聞いてみたいことについて、でした。

皆さんからのご質問としては、

Q 養護教諭自身の感染防止対策は?

 

Q 清掃は誰がどのようにするのか?

 

Q 昼食時の対応は?

 

Q けがで病院受診の時の感染症対策は?

 

Q 教室での拭きとり消毒で使用する消毒液は?

 

などについては、「こんな風にするつもりです」の意見をだしていただきました。

最後に、私から「感染症対策の整理収納」のお話をしました。

感染症に限らず、基本は「表に出ている物を少なくする(整理する)こと」をお伝えしました。

保健室に使う物だけ保健室に置いていると、きちんと収納スペースに収まります。すると、万が一ウイルスが付着していたとしてもお掃除の時に表面を拭きとりやすいですからね。もし、物がたくさん見えるところに出ていたとしたら?と考えると、拭くことに時間も労力もかかることになります。

あとは、保健室の「ゾーニング」「動線」「グルーピング」で感染症対策がこんな風にでいます!ということをお伝えしました。

参加された皆さまからのご感想の一部

なかなか前例のないことで、どうすればいいのか…悩むことばかりです。

今日は、色々な県の先生方のお話を聞かせていただき、あ〜わかる!そうそう!なるほど…と思えることばかりでした。
あっという間に時間が過ぎてしまいました。
第2弾がほしいです。
今日、お聞きしたことは、勤務校や市内の養護教諭に還元したいことがたくさんありました。
ありがとうございました。
感想にすると、なんだかなぁっとなってしまいましたが、とってもとっても有意義でした。
ありがとうございました。
次もぜひ参加させてください。(兵庫県 小学校 M様)

 

今日は、加藤さんとのご縁で、全国各地の養護教諭の先生方と貴重な時間を共有することができたこと本当に嬉しかったです。
ありがとうございました。
コロナ感染拡大防止については、日に日に状況が変わり、町教委からおりてくる指示も遅く、それに振り回されている現場。
疲弊している中での今回のオンラインイベントのメール。
すぐに飛びついた甲斐がありました。
生方の実践等聞かせてもらって沢山学ばせていただき、パワーもいただきました。
また、明日から頑張ります。
ありがとうございました。(京都府 小学校 T様)

 

学校再開が間近になり,このタイミングで,各地域の先生方とお話ができて,大変勉強になりました。

ありがとうございました。
すでに学校が再開されている学校の方々から,実践を伺い,これからの地域なので,あらかじめ考えておくことができました。
感染症対応ばかりに注目がいってしまっていましたが,生徒達がくればケガの病院搬送も考えておかなければならないと,気づき,そのことはとても収穫になりました。
自分だけの視点では,その辺りまで及んでいませんでした。
また,質問したかったこともブレイクアウトルームでシェアさせていただき,解決できました。
良いアイディアをいただきました。
加藤先生からは,感染症対策の整理収納についてお話を伺い,ゾーニングして分けること,消毒できない物は出しておかないことなど,今からでも整理しておこうと思います。(千葉県 中学校 豊野幸子様)

 

●今回初めて参加しましたが、楽しかったです。
全国のさまざまな地域の養護教諭と繋がれていい刺激になりました。
幼稚園という校種、そして国立ということでなかなか情報が入ってきにくい状況にあります。
そのため、大変勉強になりました。
何より真似しよう!!できるところからやります。
そして前向きな先生方に出会えてやる気がでました。
明日から職務に生かしていきたいと思います。
先生方からいただいた情報を元に、根拠となる文献を探したり、学校薬剤師や学校医にご意見を伺ったりしながら、(管理職とも相談しながら)子供たちの安心安全な幼稚園生活のために努力していきたいと思います。
貴重な機会をありがとうございました。(新潟県 幼稚園 西山様)

 

本日参加の養護教諭の皆様、他県の先生とオンラインで繋げていただいた加藤先生、今日は本当に充実した2時間をありがとうございました。
先週までですでに感染防止対策に疲弊し、事務からも予算や消毒用品の使用の事で苦言があったり、すでにカウンセリングが行われているので、そちらの対応にも追われたりで、かなりモチベーションが下がっておりましたが、皆さんの色々なアイデアで思考停止だった脳がじわじわと動き始めました。
先生達は本当に一生懸命動いてくださいます。
生徒の感染防止対策、疲れない様、続けられる様に考えてやっていかないといけないなと思います。
そして保健室の感染防止対策も。
指針はあるけれど、正解はひとつではないからこそ、皆さんで共有出来たことが本当にありがたいです。
具体的にグッズを見せていただき、参考になりました。
参加してて、とても嬉しい😃気持ちになりました。
では、明日からまた頑張りましょう❗️ (福岡県 高等学校 飯干様)

 

 学校再開前のタイミングの方がほとんどだったため、すでに学校が始まっている方からのご意見を聞くことができたり、皆さんの考えているアイデアを共有できたことが再開に向けての意欲やエネルギーになった様子でした。

 

実際始まってみての課題も出てくるかと思いますが、きっと今回の情報交換会で得たことがいい方向につながるのではないかと期待します。

 

今回、大変好評だったので、学校再開後の状態と課題を再び皆さんと情報交換する場を設定する予定です。